日の出町谷戸沢廃棄物広域処分場 生態モニタリング調査
日の出町谷戸沢廃棄物処分場の事業は、搬入道路や廃棄物処分場の建設から廃棄物の埋立処分、埋立処分環境への影響も長期にわたると予想されました。しかし、本事業の公共性は高く、周辺住民の理解と協力を得るためにも、事業による影響を最小限化する必要がありました。このため、事業実施の全期間にわたり、環境への影響をモニタリングし、事前の予測を越えた影響が出た場合には、適切な対応や対策がとれるように、動植物に関するモニタリング調査が計画されました。弊社では、東京都三多摩地域廃棄物広域処分組合の委託を受け、この生態モニタリング調査を、1982(昭和57)年から、18年にわたって実施してきました。
その間の調査の中で、事業によりトウキョウサンショウウオの産卵環境が減少したことに対して、トウキョウサンショウウオの産卵池を造成する保全対策をとり、そこで毎年安定した産卵が見られるなど、一定の成果を上げることができました。
それらの、過去の多くの調査データをとりまとめて、その評価を行い、今後の谷戸沢処分場のより維持管理に資することを目的として、谷戸沢処分場生態モニタリング評価検討会が2001年8月につくられ、2001年9月から4回にわたり委員会が開かれました。
座長 | 高槻成紀 | 東京大学 総合研究博物館 |
委員 | 亀谷行雄 | 東京都林業試験場 |
委員 | 須田孫七 | むさしの自然史研究所 |
委員 | 草野 保 | 東京都立大学大学院 理学研究科 生物化学専攻 |
委員 | 高野 肇 | 独立行政法人 森林総合研究所 森林科学園 |
技術委員会委員長 | 花嶋正孝 | 福岡県リサイクル総合研究センター |
その委員会の結果は、「18年間の生き物の移り変わり~処分場事業動植物の変遷~」という報告書としてまとめられました。その内容は、循環組合エクスプレス 自然環境の保全・創出で見ることができます。
今後は、廃棄物の埋立処分が97年12月に終了したことを受け、処分場の跡地が次第に安定し、草地化していくにつれ、特に処分場内での生態系がどのように回復していくかを追跡調査していく予定です。
これらの調査結果は、自然復元対策を将来行う際に、最終的にどのような生態系の自然復元が可能か、また、その復元方法はどのようにしたらよいかの資料となると考えられます

トウキョウサンショウウオのために産卵池を造成した

造成した産卵池で、その後も継続して調査を行った

造成した産卵池では、
トウキョウサンショウウオの産卵がみられた